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<二代目若手農家>ハウスみかんの燃油価格高騰対策で最大3割コストダウン!農業でカーボンオフセットにも挑戦【就農13年】

公開日:2019.02.27

ハウスみかんが全国1位の生産量を誇る佐賀県唐津市で、2代目ハウスみかん農家として活躍している若手農家の大場さん。今では3名の従業員と10名のパートを雇用するなど経営の規模拡大や、コミュニケーション能力を活かした情報収集で常に新しい取組みや良い機器を取り入れています。農家としてスキルアップするため地域の勉強会も欠かせません。日本一の産地「唐津」を盛り上げていくため、次世代の若手農家育成に積極的に取り組んでいます。
「農業が好きだから。」
笑顔が眩しい大場さんに環境制御の取組みやおすすめの機器についてインタビューしました。

大場さんの代(二代目)になって始めた新しい取組みはありますか?

僕の代になってから環境制御を始めました。果樹は通常、露地で栽培するため天候や自然の影響を受けます。しかし、ハウスだと温度も湿度も水も自分で管理ができる。光もCO2も制御できる。夏になってハウス内の気温が上がったら、ヒートポンプで涼しくすることもできる。環境制御もここまでくると手札が溢れているので、色々なことが出来ます。収益を大きく上げる事もできるし、収量をがっつり取る事もできます。自分でやれることが多いので、面白いですね。好奇心がある人には環境制御ってとても向いていると思います。僕は機械を触るのが好きだから、なおさら楽しさを感じますね。自分の感覚で調整していると無駄が多く、コストが増えてしまうと思います。効率を考えたら機械の使い方を学んで取り組んだほうがいいのではないでしょうか。

栽培はとてもファジーなものだから、数値化して分析して、出来ていない部分を見つける。その見えてきた課題に対して何をするか、調整していくのが面白いです。もちろん、全て上手くいくことはないので、1年位かけて「ここがダメだったから次はこうしてみよう」って調整しながらやっています。
年々全体的に良くなってきているので、まだまだ色々な挑戦ができるかなと、余裕をもって楽しみながら栽培しています。

重油の価格高騰に対して、どんな対策をしていますか?

少し下がりましたが、まだまだ高いですね。昔は40円50円が当たり前だったのが、今は100円近いのですから。
一番の対策はヒートポンプの活用です。イーズのアグリmoグッピーⓇとかヤンマーのGHP(ガスエンジンヒートポンプ)は削減率が相当高いですね。加温機よりもヒートポンプが優先的に動くように、ニッポーのハイブリッド暖房制御盤も導入しています。

あとはビニールの三重被覆。通常、屋根のビニールは二重ですが、僕は三重にしています。電気代不要で、保温力がアップします。これが一番効果がありますよ。測定の結果、最大で3割の高熱費を削減することができました。

最近では環境省がやっている「カーボンオフセット制度」にも取り組んでいます。
大企業はCO₂の削減が義務付けになっています。しかし、どうしても削減できない業種もある。そこで削減できないCO₂分を「温室効果ガス削減・九州」の取組みに「資金」として提供する(クレジットを購入)することでオフセット(埋め合わせ)するというものです。
農家では、「重油をヒートポンプに変えたらこれくらいCO₂を削減しましたよ」とデータを出せば、削減分を売ることができます。
この制度にヤンマーのGHPが対応しているのです。うちは計測が終わったので、これからデータを提出してみるところです。

新しい情報はどのように集めていますか?

一番は展示会ですね。東京の会場に行くこともあります。展示会場では困っていることを解決してもらえる機会が溢れている。色々なメーカーの営業マンと関係を作っておくと、後々情報をたくさんもらえます。
あとは個人的なつながりですね。友達が多いので色々話を聞いたりします。SNSはあまり使っていません。直接会った時に会話をしながら教えてもらったりして、情報交換をしています。
メーカーの訪問営業もありますけど、僕は基本的には信用していません。内金入れませんか?とかお金の場合が多いので、まず品物を持って来てほしいと言います。実際に肥料など持ってくる人もいますが、怪しい肥料の場合もあります。昔、試供の肥料を撒いて木を枯らしてしまったこともあります。合わない肥料もあるのでそこは慎重になる必要がありますね。

大場さんが使っていておすすめの資材や機械はありますか?

①ニッポーの炭酸ガスコントローラー「CO2ナビ・アドバンス」は以前から使っているのですが、データが取れるので便利です。自動校正機能がついているので、校正の手間がかからず正確な測定ができます。また、ステップ数が多いので濃度設定を細かく変えられ、様々な施用パターンを試すことができます。

②部材はアルミのビニペットⓇがいいですね。色々種類があるけど、やはり東都興業さんがいいですね。1番強度が高い。潰れないです。ハウス資材は何年も使うのでやはり強度が弱いと致命傷。周囲もみんな東都興業のビニペットⓇ使っています。

● ビニペット

③炭酸ガス発生器のダッチジェットも面白いです。最初は扱い方が難しいけど、覚えたらなかなかいいですよ。重油式だと熱とともに煙突から燃焼ガスを廃棄しますが、ダッチジェットは煙突がないので燃焼ガスを全てハウス内に入れることができ、燃費が良くなります。CO2と同時に加温ができるのがメリットです。展示会で見つけました。

熱エコフィンという加湿器の釜に巻き付けて使う「省エネ装備」です。巻き付けてラジエーターみたいになります。設置しているハウスは温度の上がり方が明らかに変わりましたね。第一総合企画の商品で、佐賀新聞に載っている記事をみて導入しました。吹き出し温度が変わるはずだと思って、設置したところの温度の上がり方をグラフ化したんです。そしたらやっぱり釜の冷却能力が増している。効果がはっきり出ています。

● 熱エコフィン

⑤ヒノテックのオイルヘラーズも良いですよ。加温器の排ガス排出口へ取付け、排熱を回収します。 すべてのハウスに導入していますが、なかなか使いやすいです。重油の削減幅だけで勝負しようと思うのであれば、このオイルヘラーズは断然おすすめです。

● オイルヘラーズ

⑥ビニールフィルムはシーアイ化成のスカイコートを使っています。
今まで流滴剤は生地に練り込むのが主流でしたが、最近では表面塗布タイプ(表面に塗布する加工)に変わってきました。コーティングタイプは透明度が高く長持ちするのでビニールの張り替えをしなくて済みます。ハウスみかんとかだと1年位使えますね。

● スカイコート

⑦フルタの電動シャッターも便利です。最近の新型のハウスなら最初からついていますね。
換気扇が回った時に反対に電動シャッターがついているので、空気の取り入れ口を勝手に作ってくれます。電動でしか開閉しないのでそこから空気が入ることはない。かなりエコになります。

● 電動シャッター

次はどんな機器や資材の導入を考えていますか?

今後はクラウドの導入について検討しています。色々な機器を使っているので、どうやって統一するかなど、まだまだ情報を集めたり検討が必要です。
クラウドを導入することによって、産地の底上げに大きく貢献すると期待しています。


ハウスの情報


ハウス:鉄骨/ビニール
天窓:自動巻き上げ
カーテン:保温
暖房機:重油式暖房機、ヒートポンプ、ガスエンジンヒーポン
その他:炭酸ガス発生装置、循環扇


ハウスの様子



キュレータープロフィール

佐賀県/ハウスみかん生産者 
大場さん

佐賀県はハウスみかんの生産量日本一を誇る。
その佐賀県唐津市にある大場農園で精力的な取り組みを行っている大場さん。笑顔のまぶしい期待の若手生産者だ。機械が好きで、メーカーより詳しくなってしまうことも。
品質の高いみかんを生産するために農業機器を積極的に導入するなど、若手ならではの先進的な取り組みを行っている。取材担当者より

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