コラム

炭資材の定番!もみ殻くん炭の使い方や作物への効果をご紹介

公開日:2021.11.24

炭といえば、鰻や焼き鳥、バーベキューに欠かせない燃料ですが、実は農業にも欠かせない重要な土壌改良材であることをご存知でしょうか?今回は農業用の炭資材の特徴や、代表的な炭資材「もみ殻くん炭」についてご紹介します。

1.農業用の炭資材とは?

農業用の炭資材は、主に植物由来の原料を酸素の少ない状態で燃やして炭化させたもの。ゼオライトやピートモスなどと同じ「政令指定土壌改良資材」のひとつです。日本では木炭や竹炭、もみ殻くん炭などのメジャーなものほか、ヤシ殻やとうもろこしの芯など多様な素材の炭が使用されています。市販のものを購入するだけでなく、道具を揃えて自作することも可能です。

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2.炭資材の効果とメリット

土壌の通気性・排水性・保水性の向上

炭は、表面にたくさんの小さな穴があいた多孔質構造をしています。この構造が土壌中の空気や水を通りやすくすると同時に、水分や肥料分を保持する力を高め、ふかふかの団粒構造をつくり出してくれます

土壌微生物の活性化

水や空気をたっぷり含んだ炭の表面の穴は、土壌微生物の絶好の住み家です。微生物が増殖・活性化することで土壌生態系のバランスが整い、病害も発生しにくくなります

土壌pHの矯正

炭資材はpH8~10のアルカリ性です。石灰肥料や草木灰などと同様に、酸性に傾いた土壌を中和させて酸度を調整することができます

消臭・害虫抑制効果

炭の表面の穴がにおいを吸着するので、堆肥などに混ぜ込むと嫌なにおいを軽減してくれます。炭の香りを嫌うというアブラムシやナメクジへの忌避効果も報告されています。

ミネラルの補給

カリウムやマグネシウムなど、作物の生育に必要なミネラル分を土壌に補給することができます。補給できる成分は炭の原料によってさまざまです。




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3.炭資材の定番!もみ殻くん炭の作り方&使い方

△もみ殻連続炭化装置




●もみ殻くん炭の作り方

最も手軽なのは、金属製の「くん炭器」を使う方法です。くん炭器の煙で周囲に積み上げたもみ殻を燻す昔ながらの作り方ですが、頻繁にもみ殻を混ぜ返す手間と時間がかかることや、仕上がりにムラができやすいというデメリットもあります。

大量に作りたいときは、もみ殻連続炭化装置のような専用の機器を使用するのがおすすめ。スイッチを入れれば、最適な条件で連続的にもみ殻を炭化してくれます。一般的なくん炭よりやや高温で製造されるので、仕上がりが均一で、作物に有害なタールの発生も少なめ。くん炭器を使う場合と違い、ほぼ無煙で作業できるので安心です。



  • ▼もみ殻連続炭化装置について






●もみ殻くん炭の使い方

育苗培土に混和する方法や、播種・定植前に全面散布して圃場にすき込む方法が一般的です。トマトやナス、きゅうりなどの栽培では、定植時に植穴に施用したり、バッグやコンテナの土壌に混ぜ込んだりすることも可能。堆肥の材料として使用するのもおすすめです。 大量に施用すると土壌pHがアルカリ性に傾きすぎてしまうため、使いすぎには注意が必要です。栽培する作物にあわせて施用量を調整するようにしてください。




炭資材は、農地に投入することで炭素を土壌中に留め、空気中への二酸化炭素の放出を抑える「バイオ炭」としても注目を集めています。地球温暖化対策にも役立つ炭資材、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?

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▼参考サイト
○全国土壌改良資材協議会
https://japan-soil.info/DOKAI/
○エスケイ工業有限会社
http://esukeikougyou.jp/
▼参考文献
○土壌改良用バイオ炭の施用目安(日本バイオ炭普及会)
https://biochar.jp/cms/wp-content/uploads/2019/09/seyoumeyasu.pdf
○土壌炭素貯留効果のある炭の施用による農作物の生育への影響の調査(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/biochar01-1.pdf
○バイオ炭の農地施用を対象とした方法論について(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/climate/biochar/attach/pdf/top-4.pdf

ライタープロフィール

【にっく】
農業研究所の研究員として日本全国を飛び回ったり、アフリカ・東南アジアで農業技術普及プロジェクトに携わったり…国内外の農業に関わってきた経験を持つ農学博士です。圃場作業で汗を流すのが大好き。これまでの経験と知識を生かして、わかりやすい記事をお届けします!









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