コラム
公開日:2022.04.26
露地栽培が一般的なぶどう栽培、実はハウスで栽培する方も増えています。難易度の高いイメージがあるぶどう栽培ですが、ポイントを押さえて丁寧に管理を行えば初心者でも栽培可能な作物です。そこで今回は、ビニールハウスでぶどう栽培に挑戦したいという方向けに、おすすめの品種や栽培方法をご紹介します。
ハウスを利用したぶどう栽培で得られるメリットは以下の通りです。
難易度が高いと言われるぶどう栽培は、品種選びにも気を付けることが重要です。ここでは、初めてぶどう栽培にチャレンジする際のおすすめ品種とその特徴を紹介します。
シャインマスカットは、皮ごと食べられる食味の良さからとても人気がある品種です。緑色のぶどうなので着色処理も不要で、比較的技術習得が楽に行える短梢栽培が可能です。
※短梢栽培…梢(枝)を短く切って整える剪定方法
デラウェアは、小粒で実が甘く酸味が少ないのが特徴。大粒のぶどうと比べて管理もしやすく、実付きがいいので初心者におすすめの品種です。
はちみつのような濃い甘さが特徴のスチューベン。デラウェアほど小粒ではないものの、大粒の品種と比べて栽培が容易です。東北地方での栽培に適しています。
ぶどう栽培の植え付けから収穫までの流れを見ていきましょう。
ぶどうは排水性が良くフカフカした土壌が栽培適地の条件とされています。植え付ける圃場が排水不良の場合は、暗渠などを設置して排水対策を行ってください。
定植を行う1か月前までには、定植位置に縦横1m、深さ30cmの穴を掘って土壌がpH7になるよう土壌改良剤を混ぜて埋め戻しておきます。
また、つるを誘引するための棚も設置しましょう。鉄パイプを組み合わせて自作すれば、丈夫で自由が利くためおすすめです。自作が難しい方は、組み立てるだけのキットを活用してみましょう。
1.縦横1m、深さ30cmの植え穴に支柱を立てて潅水する。
2.傷ついた根を切り落としてから支柱を中心に根を四方に広げる。
3.台木部分が15cm程地上に出るように土を埋め戻す。
4.盛り土部分を踏み固めて土手を作り、水がたまるようにする。
5.はっきりと見えている芽の一段上で切り返しを行う。
6.苗木を支柱に誘引し、かん水を行う。
7.乾燥を防ぐため、稲わらなどでマルチを行う。
1.5~7日に一回かん水を行う。
2.発芽前にデランフロアブルなどの果樹用殺菌剤を散布して消毒する。
3.発芽後、生育のいい芽を2つ残して他の芽は取り除く。
4.株元に草が生えてきたら除草を行う。
■芽かき
ぶどうの木に葉が5枚ほど付いたら新梢の生育を揃えるために芽かきを行います。
■新梢誘引
葉が9枚ほどになったものから寝かせて花房が下に来るように誘引します。
■花穂整形
開花初めに花穂の先端を4cmほど残してその他の花穂を取り除きます。
■ジレベリン処理
花穂の先端まで咲き切ったらジベレリン処理を2回に分けて行います。この作業をすることで種なしぶどうを作ることができます。
■摘房
形の悪い房などを取り除き、主枝1mあたり9房位になるようにします。
■袋掛け
虫や鳥による食害などを防ぐために袋を掛けて行きます。
■施肥
休眠期に入る直前の11月に元肥として、窒素・リン酸・加里の3要素を含む肥料を施します。保肥力が少ない圃場では、①発芽15日前、②2回目のジレベリン処理後、③収穫後の3回速効性肥料を施用しましょう。
べと病、黒とう病、灰色かび病、うどんこ病、晩腐病
チャノキイロアザミウマ、クワコナカイガラムシ、ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバ
今回は、ビニールハウスでのぶどう栽培を検討している方向けに、おすすめの品種と栽培方法を紹介しました。使われていないビニールハウスの有効利用にもおすすめなぶどう栽培、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
▼参考文献
〇農研機構「シャインマスカット栽培マニュアル」
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/shinemuscat_new-saibai.pdf
ライタープロフィール
かくやさゆり
種苗会社で培った経験と知識を活かしライターとして活動。
家庭菜園とアウトドア遊びが趣味の半農半ライターです。農業を中心にアウトドアをテーマにしたメディアでも執筆中。