コラム

野菜を守るコンパニオンプランツとは?植え方と効果的な組合せ一覧

公開日:2018.10.12

1.楽したい!骨の折れる無農薬栽培

農薬を使わずに作物を栽培することができたら、それに越したことはないですよね。
しかし、実際に無農薬栽培にチャレンジしてみると、病害虫の発生をゼロにすることはとても難しいことがよく分かります。
病害虫が発生してから駆除することはとても大変ですので、防除に努めてできるだけ楽に栽培したいものです。

無農薬栽培のコツは、土づくり、密植を避けて風通しを良くする、肥料を与え過ぎない、連作障害を避ける、防虫ネットなど資材の活用など色々ありますが、作付け計画の際にコンパニオンプランツを取り入れてみてはいかがでしょうか?
コンパニオンプランツを活用することで、手間のかかる無農薬栽培をもっと楽にできるかもしれません。

2.コンパニオンプランツとその効果

ここからはコンパニオンプランツと、その効果についてご紹介します。




コンパニオンプランツとは

コンパニオンプランツとは共栄作物とも呼ばれ、互いの成長に良い影響のある2種類以上の植物の組み合わせや、それら植物を指します。
それぞれの品種に合うコンパニオンプランツを活用することで、病害虫を抑える、野菜の生育が良くなる、食味が良くなるなど、様々な効果が見込めます。
また、植物を植えた後は互いに良い影響を及ぼし合うので、手間をかけずに栽培することができます。




効果

【害虫忌避】


害虫が嫌う臭いを発する野菜を利用し、寄せ付けないようにします。代表的なものとしてネギやしそ、ハーブなどの臭いが挙げられます。例えば、しそとオクラを一緒に植えることによって、オクラにつくコナジラミやカメムシをしその臭いで予防します。

反対に、害虫を引き寄せる臭いを発する植物があります。例えば、カモミールはアブラムシの好む匂いを出すため、本来寄生するはずだった野菜からカモミールに誘導して野菜を守ります。



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【病気予防】


ネギやニラなどヒガンバナ科の野菜の根には細菌が共生しており、それらが抗生物質を出すことにより、つる割れ病や青枯れ病を防ぎます。また、マリーゴールドの根から分泌される成分にはセンチュウを減らす働き作用があります。



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【生育促進】


光を必要とする背の高い植物の影に、日陰でよく育つ植物を植えると、どちらもよく育ちます。マメ科の野菜の多くは、植えると空気中の窒素を植物が利用できる形で土壌に供給してくれるので、一緒に植えた野菜もよく育ちます。

3.コンパニオンプランツの正しい植え方と組み合わせ

コンパニオンプランツはただ異なる作物を植えればいいというわけではありません。効果を得るためには、正しい植え方やそれぞれの野菜に合う組み合わせがあります。



植え方

植え方は、株と株の間に異なる種類の野菜を植える「混植」と隣り合う列ごとに異なる種類の野菜を植える「間作」が基本です。

【混植】

例えばキャベツとレタスを交互に植えるとキャベツに付く害虫を減らすことができます。また、ネギやニラを利用する際には、根と根が絡むように植えると効果的です。



【間作】

距離が近すぎると競合する場合に効果的で、サツマイモとエダマメなどの組み合わせがあります。
その他に、野菜の株元を囲むように植える方法や畝の周囲を囲む方法もあります。マリーゴールドやバジルでトマトの根元を囲ったり、野菜の畝の周囲をネギやハーブで囲うように植えたりする方法が有名です。




組み合わせ

基本的に異なる科の野菜を組み合わせます。同じ科の作物を混植すると、生育が悪化したり病害虫が増えたりすることがあるので避けましょう。
組み合わせは基本的に3タイプに分けられます。

①背の高い野菜と背の低い野菜(例:とうもろこしとレタスなど)
②日当たりを好む野菜と日陰、半日陰を好む野菜(例:きゅうりとミツバなど)
③根が深い野菜と根が浅い野菜(例:ナスと落花生など)


組み合わせと効果の例 ■アスパラガス×トマト

アスパラガス⇒トマトの病気を抑え、土壌のセンチュウを減らします。
トマト⇒アスパラガスの害虫であるハムシを防ぎます。

■スイカ×トウモロコシ

スイカ⇒トウモロコシの株元の保湿や雑草の発生を予防します。
トウモロコシ⇒スイカへの害虫を予防し、お互いの生育を良くします。

■大根×ニンジン

大根⇒ニンジンに寄生するアゲハチョウの幼虫を防ぎます。
ニンジン⇒大根に寄生するモンシロチョウやコナガの幼虫を防ぎます。



※ただし、バラ科のイチゴとアブラナ科のキャベツなど科が異なっても相性が悪い組み合わせがあるため注意が必要です。

下に代表的な組み合わせの早見表がありますので参考にしてみてください。




この表をダウンロードする

「無農薬栽培をしてみたいけど、病害虫対策など育て方で悩んでいる・・・」と言う方は、コンパニオンプランツを上手く利用することで病害虫を防ぎ、手間をかけずに無農薬栽培を始めることが出来ます。楽して安心な野菜を作るためにも、ぜひ取り入れてみてくださいね。



【参考文献】
〇育ちや味がどんどんよくなる 自然菜園で野菜作り,竹内孝功,家の光協会,2014.
〇有機・無農薬でおいしく安心な野菜をつくる コンパニオンプランツで無農薬の野菜づくり,鈴木昌子編,学習研究社,2009.

【参考サイト】
〇コンパニオンプランツのススメ。コンパニオンプランツが役立つのは家庭菜園だけじゃない,農作物,GrowRicci
https://www.kaku-ichi.co.jp/media/crop/companion-plants-2
〇トマトのコンパニオンプランツ,お役立ち情報,野菜通信
http://ark-nets.com/corncob/garden_hint/companionplantingtomato/
〇コンパニオンプランツの組み合わせと効果,野菜栽培の基礎知識,野菜の育て方,やまむファーム
https://ymmfarm.com/cultivation/basis/companion-plants
〇コンパニオンプランツ,野菜のひろば,タキイネット通販
https://shop.takii.co.jp/simages/shop/selection/con_plants1106_01.html



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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