アグリキュレーター

ガーベラ生産量日本1位の浜松市!部会長が挑戦する新しいガーベラ栽培の形【栽培歴15年】

2018.09.26

ガーベラ農家の3代目。炭酸ガス施用に挑戦したり、日本養液栽培研究会の原稿執筆やガーベラ部会の部会長を務めるなど幅広い活動をされている杉浦さんに、栽培の取り組みについてインタビューしました。

ガーベラ栽培ではベンチ栽培と土耕栽培どちらがおすすめですか?

現在浜松市ではベンチ栽培をしている生産者が1/3程度で、土耕栽培がメインとなっています。しかし、どちらが良いと一概には言えませんね、ハウスを建てる場所によって向き不向きがあります。私は土耕栽培とベンチ栽培どちらも半々でやっています。ここの圃場は台地の上にあり、水はけがよいので土耕栽培のままにしています。しかし他の圃場は田んぼの中に立っているハウスなので、最初は土耕でやってみたけど、地下水位が高くてベンチ栽培にしました。
“土耕栽培から始めたが、連作障害が起きて作りにくくなり、ベンチアップ(ベンチ栽培に切り替える)をした”という流れの生産者が多いです。ガーベラの全国大会に参加していると、他の産地を見に行く機会があります。花の施設栽培は基本田んぼからの転作が多く、他県で土耕栽培の人は少ない。福岡も田んぼの中のハウスが多かったですね。

  

●全国大会とは?
ガーベラは全国組織があり、各地で全国大会をやっています。意識の共有や勉強会を兼ねて開催されています。

ガーベラ栽培はどのようなことに気を使いますか?

客先から来る1番嫌なクレームがぼと(灰色カビ病)です。
ガーベラは咲いた状態で収穫をするので、ぼと(灰色カビ病)が畑で出てしまいます。換気を強めにする等、管理が大変です。また、土耕栽培の場合は連作障害も気を付けなければなりません。
連作障害の対策としては、最終的にはベンチアップがいいのかもしれないけど、ベンチ返しをしたり、暗渠排水を入れて水はけを良好にしています。
※暗渠(あんきょ)=地下に埋設したり、蓋をして覆うなどして外からは見えないようになっている水路。

このハウスは15年になるのですが、最初2mくらいやりました。未だにどでかい石がゴロゴロ出てきます。

夏は品質を保つのが大変な時期です。冷房を使ったり遮光をしてハウス内の温度を下げます。冷房だけだとある一定以下に下がらないので、遮光は大切です。
しかし、遮光しすぎると日差しが届かず、花の色に影響が出てしまいます。このため、“遮光しつつもなるべく光を当てるようにする”ことを意識しています。

ガーベラ栽培ではどのような環境制御をされていますか?

この辺は他の産地に比べると炭酸ガス発生器の導入率が低いように思います。ボト病(灰カビ)対策で換気を強めにするので、炭酸ガスが逃げてしまう分も多く、効果を実感しにくいのかもしれません。

私は現在挑戦中です。日差しが強くなってくる3月頃は1日20回~30回弱発生器が稼働しています。濃度でコントロールしているので、濃度が下がればどんどん炊いてくれますね。そして、4月に入って一気に暑くなると、窓を開放する頻度が増えて外気から入ってくるCO2があるので、炭酸ガスの燃焼は減ります。420PPM以下にならないように気を付けています。このハウスでは循環扇が2つ、あとは暖房機(2台)についているファンで空気を回しています。

ベンチアップしているところは、ベンチの下にダクトをいれて、下から施用しています。炭酸ガスを施用しているハウスもしていないハウスも、暖房機のファンを回し続け送風しています。とくに施用しているハウスは、風を動かして葉っぱがCO2をキャッチできる確率を上げたいと思っています。

杉浦さんが会長を務めるPC浜松ガーベラ部会ではどのような取り組みをされていますか?

ジャパンアグリバイオ㈱と共同開発でグループのオリジナルの品種を開発しています。

ハウスによって品種を変えたりしながら色々な種類を栽培しているんです。培養苗を実生交配することで違う色の花が咲きます。この実生交配した中から色の良いものを培養して増やします。青以外であれば、いろいろな色が咲きます。茶色や緑や黒など、なんでもありますよ。結婚式には白いガーベラがおすすめです。とても綺麗ですよ。

しかし変わった色は需要があまりないです。珍しい!と最初に飛びついてもらえるだけで、継続的には出ません。ガーベラは一度植えると一年中花が出てくるので、季節感が強い色はあまり作りません。

新たな品種にはいつも名前の頭に「ぷち」をつけています。そして、一昨年からは”和ガーベラシリーズ“といって、「和」を連想する名前をつけています。例えば「プチこむらさき」とか。 国産なので「和」にこだわってみました。



最近部会では、大学の先生に土壌分析について指導を受けているメンバーもいます。足りない肥料だけを単肥で与えることで、かなり実績を上げています。 こういった土壌分析や炭酸ガスの施用など新しい取り組みをする中に、グループとしては前年度の出荷量が104%になりました。 最近は部会員が減ったりして落ちていましたが、久しぶりにアップしました。うれしい限りです。 今後も積極的に新しい取り組みを増やして産地を盛り上げていきたいと思っています。


ハウスの情報


ハウス:鉄骨/ビニール
天窓:自動巻き上げ
カーテン:保温、遮光
暖房:重油式暖房機、ヒートポンプ
(重油価格によって使い分けている)
その他:炭酸ガス発生装置、循環扇
養液土耕栽培


ハウスの様子



キュレータープロフィール

静岡県/ガーベラ生産者 
杉浦さん

静岡県浜松市はガーベラの生産量が全国1位。
先代からガーベラ栽培を受け継いだ杉浦さんは3代目となる。就農して15年。現在は全7棟のハウスで40種類以上のガーベラを栽培している。“浜松PCガーベラ”の部会長も務め、新たな品種の開発や産地の活性化に努めている。
笑い話も交えて楽しく、丁寧に栽培への取り組みやガーベラの色や品種などについて教えてくれた。ちなみに、杉浦さんの好きな種類は「スパイダー」だそうだ。取材担当者より

ガーベラ生産者 杉浦さんの記事一覧へ